札幌市 24歳の地震レポ
- 猫の異変
- 経験したことのない衝撃
- すぐにLINE、Twitterで状況確認
- はじめての震度6。地盤の弱さを実感
- やっぱりスマホに頼っちゃう
- 信号なしの自動車のこわさ
- どこにも食べ物がない。日常が消えた日
- 暗いだけで不安になる
- 電気復活!田中カワイイ!
- 大地震が起きたいま、記録しておきたいこと
- 他者に寛容な社会で災害時も生きやすく
猫の異変
「もう、なにさ~…しつこいよ…。」
深夜2時。気持ちよく寝ていたところを飼い猫がジャマをしてきた。
しつこく上に乗ってきたり、窓をガリガリひっかいたり、顔をたたいたり。「とにかく起きなさい!」と言わんばかりの態度。
猫のいたずらで睡眠不足になっちゃうので、向かってくるたびにベッドから下ろして、窓をひっかいたらやめさせて。これを何回も繰り返した。
そして、もう一度寝た。
普段はこんなことしないのに、何かがおかしかった。動物のカンってあるんだね。
経験したことのない衝撃
ドンッ!!!と家に衝撃がきた。なにかが爆発でもしたのかと思った。
「割れた!どうしよう!こわい!」
母親が騒いでいる。
今日は睡眠不足確定だなあ、と思って起き上がろうとすると、なんだかめまいが。めまいというか、床も壁もグラグラしていた。
不気味な音(緊急地震速報)と周囲の声が響く中、リビングに行くと、食器がかなり割れていた。

なにこれ…今までこんな揺れたことないよ
午前3時だよ、勘弁してよ~、片づけ時間かかるなあ
すぐにLINE、Twitterで状況確認
とりあえず、すぐにLINEとTwitterを開く。
「地震大丈夫?」
このへんがスマホ世代の行動だと自分でも思う。
Twitterが最速の情報手段だし、LINEは一番連絡が通じる。
テレビは混乱状態だったし、つけたらすぐに消えた。このとき、電気が止まった。手元のスマホしか見えない。
「マジか、きついなこれは…」
父親が声を出した。この一言で、どこにいるかがようやく把握できるレベルで真っ暗だった。
「札幌 停電」でツイートを見ると、かなり広範囲の停電だとわかった。(実際は道内295万戸すべて停電)
はじめての震度6。地盤の弱さを実感
僕が住んでいる札幌の東区は震度6弱を観測していたらしい。札幌市内で震度6相当は初めてとのこと。
札幌市東区は、元々一面が玉ねぎ畑だった歴史もあって、地盤が弱い。「東区は玉ねぎが美味しいよ~」とか言ってる場合じゃなかったよ。
玉ねぎのうまさより地盤固めようぜ…
のちにわかったのが、住んでいる区域が液状化しやすい場所に指定されていたこと。近所の道路が陥没したり、通行止めになるなんて思いもしなかった。
液状化危険度というのが市の情報としてあがっているけど、おそらくこれほとんどの人が見たことないと思う。
東区と清田区はヤバイ。実際そうだったし。
リンク:地震防災マップ/札幌市
やっぱりスマホに頼っちゃう
ラジオもってない!テレビつかない!Twitterは本当かウソかわからん!
電池減るけど、しかたない。スマホアプリのradikoでラジオを起動。ことの重大さに気が付いた。
「これ震災じゃん…胆振で震度7?」
震災だ。そう気付いたところで対策のしようがない。あれもってないの?あれはどこ?そんなこと言い始めても遅い。
「震災 防災グッズ」
調べても意味ないのに調べた。
本当にスマホのバッテリーは大事だと実感。調べれば調べるほど充電が減る。連絡すればするほど充電が減る。
いまの10代、20代はなんでも調べて安心する世代だと思う。
・冷蔵庫にあるものは何日までいける?
・食べる順番はどうしたらもつ?
Google先生に聞きたいことがあふれる。
防災バッグにバッテリー詰めておいた方がいいね。モバイルバッテリーは普段用と災害用の二つ持っておいてもいいと思う。スマホの充電は死活問題。
ソーラーチャージャーなんか誰が買うんだよと思ってたけど、これは最強かもしれない。
信号なしの自動車のこわさ
いつ余震がくるかわからない状態だったけど、石狩市に住んでいるじいちゃんが心配でならなかったので、一家で移動することにした。このとき、午前4時くらい。
外に出て車に乗り、出発。多くの車が走っていた。信号がすべて動いていないので、クラクションの嵐。当然、地震直後に警官はいない。
かなりの速度で飛ばしている車、無謀な割り込みや細い路地を猛スピードで走る車。
非常事態の人間の行動は本当にこわいね。鉄の塊を操っているとは思えない野蛮さ。
このときの殺伐とした空気は忘れないなあ。
北斗の拳の20XX年かよ、って思った。
どこにも食べ物がない。日常が消えた日
コンビニやスーパー、ドラッグストア、どこをまわっても長蛇の列。食べるものが売ってなかった。


ナッツ、サバ缶、納豆、チョコ、カロリーメイト。あるものかき集めて食べた。
最近、「医者が教える食事術」って本で、ピッタリな内容を読んだ。
ナッツは最高だぞ~
サバはいいぞ~
チョコも納豆も良質な栄養だぞ~
被災して健康になるんじゃね?このメニュー、ストイック健康オタクかよ
ちょうどよく節制されたメニューで健康管理されてる気分になった。
夜も何も買えなかったので、同じようなものを食べた。



暗いだけで不安になる
地震が起きて、停電して、そのまま夜になった。懐中電灯や電球を総動員して、なんとか足元が見えるくらいにはなった。
電気がないから不安というより、暗いこと自体が不安になる。恐怖が増す。
することもないし、スマホも無駄にいじれない。寝ようにも寝られない。
7時ぐらいからもう真っ暗だから、11時に寝るとしても、4時間は耐えなきゃならん。
クロスバイクにつけてたライトを使ってみたけど、なんかやり方を間違えていて明るさが微妙。

結局、8時くらいに寝床について、目をつぶった。
電気復活!田中カワイイ!
11時前くらいに電気が復旧した。電気がついただけで「うわ~、やったね!!!」と家族と喜び合ったのは初めて。
サッカーで1点入ったぐらいの熱狂ぶりだった。
テレビで状況を確認し、スーパー、空港、交通機関などが機能停止していることを知った。
お米を炊いて、シャワーに入って、アメトークの田中カワイイ芸人を見た。もう、めちゃくちゃ笑った。こういうときのお笑い芸人さんの存在は大きいね。
我が家でアンガールズ田中さんの「3回目~~~!」が流行った。
大地震が起きたいま、記録しておきたいこと
忘れないうちに書いておきたいことのまとめ
信じられない行動
同じく被災している店員や職員に対してのクレームを平気で言う神経を持つ人間が一定数いた。車の無謀な運転も。これはかなり深刻。
善意の塊!聖人のような人達
余震が続く中、無料で食事提供を行う飲食店や、助けてくれる近所の方々。繋がりが薄くなったこの時代に、温かい気持ちになれたことは良い経験だった。
デマ情報の危険性
「~~の知り合いからの情報です!〇時に断水します!」みたいなデマが流れた。情報の正確さを確かめる前に、簡単にバズってしまうことのこわさを知った。
自粛ムード醸し出してんじゃねえ!
「北海道の方々、本当にお辛いですよね…」みたいなツイート、いらないから!いつもはそんな感じじゃないだろ!
平静を保つために、ネットでは日常を感じさせてほしい。
自転車は超便利
地下鉄ダメ、バスもダメ、JRもダメ。ガソリンが売り切れ。
でも、歩いていけない距離まで移動したい。そうなっても、唯一、自転車だけは移動できる。
こんなことが起こらないと気づかなかったけど、自分の足が原動力の乗り物はいざというとき役に立つよ。
部屋は普段からスッキリしておくべし
どこになにがあるかわからない状態で被災すると、パニックになる。防災グッズはまとめて玄関に置いておくべきだし、部屋の把握は必須。
モノで埋まって動けなくなったら詰む。
現金だけは本当に大事
クレジットカード、電子マネー、仮装通貨。貨幣の支払い方法は増えてるけど、電気がゼロになると、お金を持っていることの証明が一切できない。
電卓で現金会計しているところにクレジットカードを持って行ったって、話にならない。
現金もたずにスマホ決済しているミニマリストのひとはこんなときどうするんだろうか。現金を持ちたくないなら、非常食ぐらいは常にもっておきたい。
他者に寛容な社会で災害時も生きやすく
「北海道は全然台風も地震こないからさ~」みたいな会話はもうできないなあ。両方いっぺんにくらってんだもん…
日本にいる以上、地震のリスクはあるんだよね…。今からでも遅くないので、近所の人にあいさつぐらいはしておきましょう。
いざというときは助け合いなので。他人は他人、と切り離さない方がいい。
スーパーに食品が並ぶのは、それを作っている人がいるから、そこまで届けている人がいるから。これを意識せずに、クレームだけ言う大人は本当に醜かった。
災害時の身の振り方に人間の本性が出ると思った。
「他人に無茶を求めない」という精神が足りてない人がいるので、そこが隠れたこわいところだなあ、と感じた。
最後にもう一回言っとくと、現金とモバイルバッテリーは絶対にいつでも持っていて!そして、なるべく充電回数の多いやつ!これがないとヤバいよ!