「ごめんなさい、もちょもちょしてしまって…」
今日聞いた、耳慣れないこの響き。なんか、かわいい。
僕は飲み物を1本買って、1万円札を出した。女性の店員さんがおつりを数える。
「大きい方から、1000、2000、3000…、9000円と…。え〜っと、残りがこちらの…」
ちょっとだけ硬貨がバラついて、数えづらそうな店員さん。
「あー、1万円札なんか出してしまったばっかりに!なんかすいません…」と思っていると、
「ごめんなさい、もちょもちょしてしまって。」と、店員さんが恥ずかしそうに謝罪。
「もちょもちょ…!?初めて聞いた…も、もちょもちょ」
自分の頭の辞典に、新しい言葉が入った。同時に、なんだか癒された。
マニュアル通りではないその対応に、人間味が感じられたから。
普段は少し天然な方なんだろうか?とか、不思議な言葉を操るタイプの人なんだろうか?とか考えてしまう。
話は少し変わるけど、ぼくはマニュアルから逸脱した接客がだいすき。
たまに海外旅行なんかに行くと、その割合が高まるので、よくスーパーや屋台に行ったりする。
商品とレジ袋をぶん投げて、「さっさと消えな」と言わんばかりの眼光でにらみつけてくる店員。
鼻歌を歌いながら、サビの盛り上がるポイントまでおつりを渡すのをじらしてくる店員。
同僚と内輪ネタの動画を見ながら爆笑し、「お前も見ろよ、ウケるだろ?」とスマホを渡してくる店員。
みんなすごくいい。自然体で生きてるって感じがする。
今日のもちょもちょの店員さんも、自然体でとても良かった。
ふつうに「時間がかかってしまい、申し訳ありませんでした。」って言われなくてよかった。
たかが一言だけど、みんなが使ってるコピペみたいな言葉よりも、その人が使う、その人らしい言葉の方が、あたたかい気持ちになるような気がした。
“もちょもちょ”って、ほかにどんなときに使うんだろう。考え出したら、頭がもちょもちょした。